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zoom RSS 『現金に体を張れ』

<<   作成日時 : 2006/06/08 21:48   >>

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画像久々に映画のレビューです。
今回は先日、友人さんにお借りしたDVDをご紹介。
今たくさん本屋とかで売っている、
500円のDVDみたいです。



『現金に体を張れ』



巨匠・スタンリー・キューブリック作品でございます。
『世界一・四角そうな名前の映画監督』であることでおなじみの、
スタンリー・キューブリック監督の作品です。
ちなみに読み方は、「げんきんにからだをはれ」ではなく、
「げんなまにからだをはれ」です。
うっかり「げんきん」などと読んでしまうと、
ちょっと恥ずかしいことになります。
台東区を「だいとうく」って読んでしまうくらい恥ずかしいです。


私はこれまでキューブリックをほとんど見たことがなかったんですが、
ちょっと前に、『博士の異常な愛情』を見まして、
なかなか面白くて、他のも見てみようかなぁと思っていたところに、
このDVDを貸していただいた感じです。
私が『博士・・・』を見たことを知って、
貸してくれたのかもしれません。
あるいはこの映画の舞台が競馬場なので、
私の競馬好きを知って貸してくれたのかも。
あるいはその両方かも。
あるいはそのどちらでもないのかも。
ともあれ、見たところかなり面白かったです。


5年の刑期を終え、出所してきたジョニー(スターリング・ヘイドン)。
彼は一攫千金を狙って、ある計画を企てる。
それは、競馬場の金を盗むこと。
競馬場のバーテンや窓口係、警官などと組み、
実行されたこの計画は完璧なものだったが・・・。



この通り、映画の舞台は競馬場。
競馬ファンの私からしたら、まずこれでちょっとドキドキです。
そこの大金を盗もうという大計画なんですが、
首謀者と思われるジョニーの描いた計画は緻密。
メンバーはその計画に乗って、
それぞれスケジュールに行動を起こしていくんですが、
この過程がすごく緊迫感があります。


画像本来こういう映画って、
あまり計画が細かすぎると、なにがなんだかわからなくて、
途中で置いてけぼりになってしまいかねない場合があります。
最近だと、『オーシャンズ12』とか見た時は、そんな感じでした。
まぁ、あの映画の場合は大物ぞろいですし、
基本的にエンターテイメントなので、
雰囲気さえ味わえればいいんですが、
そんな大作じゃない映画の場合は、
一度置いてけぼりを食らうと、全然楽しめなくなってしまいます。
しかし、この『現金に体を張れ』の場合は、
そのへんがすごくわかりやすくしてあるんです。


難しいは難しいんです。
「何時何分、誰がどこに行って」とか、
「その何分後、誰がどこに到着して」とか。
でも、ちょっと考えれば整理がつくし、
しかも全体的に、「これからどでかい犯罪を犯すぞ」という、
張り詰めた緊迫感がみなぎっています。


この整理と緊迫感を生み出しているのが、ストーリー展開
一番のこの映画の特徴でしょう。
だいたいこの手の映画は、映画の中での「時計」にそって話は進んでいくんですが、
この映画の場合は、時計が中心ではなく、
人物中心というか、それぞれのキャラクターにしぼって、
ストーリーが展開しているんです。


具体的に言うと、
計画が実行される日になったら、
まずあるメンバーのその日の行動にスポットが当てられて、
そして一段落すると、また違う人にスポットが当てられて・・・、というような感じ。
これが普通の映画だと、
映画の中での時計にそって場面場面を描くので、
それだと一応時間に忠実な構成にはなるんですけど、
その場面場面で違う人が出てきて、
逆にわかりづらくなってしまいます。
ちょっと気を抜いて見ると、「なんでこの人いるの?」みたいな。
それがこの映画にはないんです。


つまり、極端に言ってしまえば、
そのメンバーメンバーごとの、
ショートストーリーがちりばめられている感じなんです。
それがチャンネルが変わるように切り替わるんです。
しかもそのチャンネルの切り替えの瞬間には、
必ず「まもなく、第7レースの発走です」みたいな、
競馬場内のアナウンスのシーンが毎度流されるので、
見てる側としたら、「あ、今チャンネルがかわったな」ってことが、
とてもわかりやすいんです。
だから途中からすごく安心して見れるし、
サクサクと見れるんです。
まるで自分がリモコンのチャンネルを切り替えてるみたいに。


さらにこの手法によって効果的なのが、
メンバーのひとりひとりの人間性を、
じっくりしぼって観察することができるところ。
このへんがより緊迫感を生んでいます。
ある時は、「自分がこいつだったら」という視点からでも見れるし、
あるいは「あーあ、それじゃ危ないんじゃないの!?」とか、
「大丈夫かなこいつ」みたいな角度からでも見れます。


なので、普通この手の映画だと、
ストーリー主体になってしまうし、
ましてやこれだけ登場人物が出てくると、
人間性は結構おろそかになりがちになるんですが、これがないんですね。
ある人はダメ亭主っぷり爆発で、ズル賢い奥さんに振り回されてますし、
ある人は途中でこの計画に不安を感じて、
競馬場に来るなって言われているのに、泥酔して競馬場に来ちゃってるし。


で、しかもその泥酔が原因で、
計画に影響が出るのかというと、それは別にそうでもないんです。
となると明らかにこの「泥酔」は、
映画において、その人の人格の描写のみの意味しかないわけですが、
このスタンスは私はとても好きです。人間が動いている感じで。
それぞれの性格で、それぞれの人生を生きている人間が、
集まってモソモソやってる感じです。


だから一見、ストーリー構成を見ると、
とても数学的に作られた映画にも見えるけど、
その中にもちゃんと文学とか心理学があるんです。
この表現ができる人ってすごいと思うので、
私はこの監督さんはすごいと思います。
ただ『アイズ・ワイド・シャット』はわからんかったですが。
でもあの映画を見たのって、私がだいぶ(精神的に)若い頃でしたからねぇ。
今度また見直ししてみようかしら。


細かいエスプリも効いてます。
わかりやすいとこだと、
最後の方に登場するや、ラストカット
もういちいちうまいです。そして深いです。
ちょっと理屈っぽく感じるくらいですが、
でもギリギリでOKなとこです。


ちなみに主演のジョニーを演じるスターリング・ヘイドンは、
『博士の異常な愛情』にも出てましたが、
そんなことより、この原作のライオネル・ホワイト!
このライオネル・ホワイトさん、
実はあのゴダールの名作・『気狂いピエロ』の原作でもあるんです!
これと『気狂いピエロ』って、かなり幅広い方ですねぇ。
でもなんとなくですが、基本的な考え方は、
両作品の間に通じるものがある気もします。


しかも『気狂いピエロ』も、読み方「きぐるい」じゃないですし。
このへんの読み仮名トラップも酷似しています。
「きぐるい」じゃないですからね。正しくは。
間違えると恥ずかしいですよ。
毛沢東のことを、「けざわひがし」って読むくらい恥ずかしいですよ。
あるいは松任谷由実のことを、
「まつにんたにゆ・みのる」って読むくらい恥ずかしいですよ。


というわけで、こんな緻密な内容にもかかわらず、
わずか1時間半足らずの映画なので、本当にサクっと見れます。
それでいて、最後まで結末が読めません。
果たしてこの計画にかかわった人々は、
それぞれどんな結末を迎えるのか・・・。
そこへ持ってきてあのラスト・・・たまりません。
500円とかで売ってますし、
「最近いい映画ないなぁ」とお思いの方は、
チロっと見てみたらいかがでしょう。

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